2012年12月

非接触給電用コイル

いつでも、どこでも、スマートチャージ

非接触給電によるワイヤレス充電によって、ケーブル接続がまったく不要なモバイル機器が実現します。これは多くのスマートフォンユーザにとっての願いでもあります。TDKは、Wireless Power Consortium (WPC)が定めるQi仕様に基づいた超薄型非接触給電コイルを開発しました。

ケーブルやコネクタをなくした電力伝送は、電動歯ブラシ、LEDキャンドル、リモコン、医療機器、IH調理器など、多くの製品においてすでに幅広く利用されており、信頼性や利便性が高いことも判明しています。ただし、これまでの非接触給電システムは、特定の製品や用途を対象に設計されており、サイズや形状が異なる幅広い範囲のデバイスで汎用的に利用することはできませんでした。このため、現在、あらゆるメーカーの製品で汎用的に利用でき、また次世代モデルでも利用できるチャージステーションに期待が寄せられています。将来的にはモバイル機器は、バッテリ消費を気にすることなく利用できるようになるでしょう。汎用的なワイヤレスのチャージステーションが、行く先々のどこでも利用できるようになるからです。

現在、全世界の120社を超える企業がWPCに参加しており、非接触給電に関する統一規格の策定、またその促進に取り組んでいます。WPCのQi仕様に基づき、TDKは新しい超薄型の非接触給電コイルを開発しました。これは、モバイル機器のワイヤレス充電の標準化を可能にします。

TDKのビジョンは、WPC準拠の様々なデバイスにおいて、いつでもどこでも充電を可能にする為のプラットフォームを提供することです。

非接触給電の基本原理
電磁誘導は非接触給電の最も一般的な方式です、これはコイル間で伝達される磁束が電力へ変換する原則に基づいています。次に示す図では、コイル間の電磁誘導により、エネルギーが一次コイル(給電コイル)から二次コイル(受電コイル)に伝達されています。

図1:モバイル機器用の非接触給電の基本原理


電磁誘導を利用した非接触給電により、さまざまな機器間において、ワイヤレスの充電が可能となります。汎用システムでは、給電コイルと受電コイル間のサイズや特性の最適化が必要になります。


非接触給電システムにおいて、最も効率の良い電力伝送を実現するためには給電コイルと受電コイルの位置を合わせる必要があります。一方で異なるサイズや形状の機器に対応する汎用的な充電パッドを実現するためには、機器ホルダなどのような機械的な位置合わせは好ましくありません。

WPCは、非接触給電システムのコイルの位置合わせを最適化するために、3つの方式を提唱また規定しています。

  • 給電コイル中央のマグネットで受電コイルを引き寄せる位置合わせ(図2)
  • 受電コイルの位置を検出して給電コイルを移動させる位置合わせ
  • 複数の給電コイルを配列し、受電コイルに最も近い給電コイルが給電する方式


図2:マグネットにより誘導する位置調整合わせ方式


最大限の効率で給電するために、給電コイルと受電コイルを正しく位置合わせすることが必要です。この図は給電コイル側のマグネットを利用して、受電コイルを引き寄せる方式を表しています。



WPCは前述の各種位置合わせ方式について、受電側と送電側の相互の動作を確認する認証システムを採用しました。給電側のすべてのタイプについて、動作が確認されなければ、受電コイルの認証が得られないことを踏まえ、TDKは、フレキシブルで使い勝手にすぐれた受電用コイルユニットを設計しました。

図3:給電コイルと受電コイルの間の磁束


電磁誘導方式の給電においては、磁束の方向を制限するため、コイルと磁気シールド用のシートが必要になります。特にマグネットで引き寄せる方式の場合、磁気シートの素材と厚みは、飽和磁束密度に到達することがないように設計されなければなりせん。


磁気シートの課題
位置合わせの各方式にはそれぞれ長所と短所があります。例えば、マグネットで引き寄せる方式は、給電側の設計は比較的シンプルになりますが、磁気回路的な考慮が必要になります。受電コイルの設計にあたっては、磁束の方向を制限するための磁気シートが重要となります。発生される磁束が受電コイルに隣接するバッテリケースのアルミニウムに接近し、不要な渦電流が生じる可能性があるからです。この渦電流は余分な熱発生にもつながります。

受電側の磁気シートの素材と厚みは、磁気飽和状態に到達することがないように設計されなければなりせん。磁気シートが薄過ぎる場合、受電側の磁気シート内部を通過する(図3)マグネットからの磁束により、磁気飽和してしまうことで、コイルのインダクタンスの大幅な減少を引き起こします。この状態において、正常な非接触給電は機能しません。これは設計において非常に複雑な課題ですが、TDKはこの分野における広範なノウハウに基づくソリューションを有しています。これには、磁性材料技術、プロセス技術、多種多様なコイルの製造で得られた巻線技術、磁気回路設計技術などが含まれます。


TDKのコイル設計
前述したような評価や設計を用いて、TDKはWPCが定める仕様に基づく極薄型の非接触給電用受電コイルを開発しました。TDKの受電コイルユニットは、フレキシブルな薄型磁気シートを採用しており、業界でもっとも薄い、0.57 mmを達成しています。また、すでに0.50 mmタイプの開発も始まっており、薄型化が進むスマートフォン向けへのさらなる搭載が可能になります。現在のところ、出力電流は約0.5Aから0.6Aですが、より薄い0.5 mmタイプでは、これと同等かまたはさらに優れた出力電流を実現できるように開発が進んでおり、2013年における量産を視野に入れています。

この開発は、磁性材料技術やプロセス技術など、TDKが持つ広範な分野における専門的ノウハウを反映するものであり、TDKオリジナルの薄くてフレキシブルな磁気シートの開発とも関わるものです。その結果、TDKの受電コイルユニットは単に薄くて軽いということにとどまらず、高い耐衝撃性やそれにともなう信頼性の向上も実現しています。TDKは、ハイパフォーマンスかつ高信頼性の製品を継続的に提供するとともに、非接触給電システムの汎用的利用に貢献するためのに競争力の高いソリューションも提供し続けます。

図4:超薄型非接触給電用コイル


TDKが開発した超薄型非接触給電用コイルは、WPCが定めた仕様に基づいております。スマートフォンに搭載されるTDKの受電コイルユニット(右)は、バッテリチャージ用の磁束を受け取るためのもので、TDKのフレキシブルな薄型磁性シートを採用しています。この受電コイルユニットの厚みは業界で最薄の0.57 mmを達成しています。

設計者への今後のメリット
非接触給電がもたらすメリットは、ケーブルが不要で利便性が高いということだけではありません。これには、メーカ―の機器設計自由度を上げるという効果もあるのです。充電コネクタの廃止は、密封による防水防塵性を備えつつ、より薄型のスマートフォンの設計に向けた大きな一歩となります。また、信頼性の向上が達成されるとともに、電源コネクタを搭載するためのスペースをセーブする事が出来ます。

さらに、非接触給電によるワイヤレスな充電がどこでも利用できるようになれば、ユーザは必要に応じて充電することができるようになる為、設計者はバッテリの小型化を考慮する可能性も発生します。

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