2012年11月

スマートフォン向け薄膜高周波部品

さらなる低背化・高性能化に向けて

スマートフォンの開発における主要な課題の1つは、ますます求められる薄型化への対応。OEM各社では、よりスリムな機器を製造するために、従来品をしのぐより薄型の電子部品やモジュールを求めています。TDKでは薄膜プロセス技術の応用により、さらなる特性向上と低背化を実現した小型高周波部品を提供しています。

TDKの薄膜プロセス技術は、HDDヘッドの製造を通じて、独自に開発・深化させてきた技術です。きわめて信頼性の高いTDKのHDDヘッドは、ウエハ上に微細な記録素子や再生素子を薄膜形成することで製造されます。

TDKではこの薄膜プロセス技術を、各種高周波部品の製造に応用展開、特にスマートフォンや小型モバイル機器の開発・製造に最適化して提供しています。この先進テクノロジーにより、すぐれたパフォーマンスをもつ新たな小型・低背部品の開発が可能となります。また、薄膜プロセス技術ならではのすぐれた精度により、きわめて狭公差の電子部品を製造することができます。

従来、高周波回路用のカプラ、バラン、コンデンサ、フィルタなどの製造には、LTCC(低温焼成多層基板)技術が使用されてきました。ただし、現行のLTCC工法については、さらなる小型化の面でほぼ限界に達しています。しかし、小型・低背化への要求は高まる一方であり、それに応えて開発したのがTDKの薄膜高周波部品。標準的なLTCC部品との置き換えを可能にする先進の電子部品です。

図1: LTCC製品と薄膜高周波製品と導体部断面の比較

薄膜工法で作成した銅の導体部(右)は、LTCC工法で低温焼成された銀の内部電極(左)と比較して、外形・寸法が均一かつ精密です。



向上したパフォーマンス
図1の薄膜工法とLTCC工法による製品断面の比較から、薄膜工法を使用して製造された導電体のエッジ部は、LTCC製品の内部電極と比較して、より精密で境界が明瞭であり、表面も滑らかであることが分かります。これは、LTCC工法による製品と比較して、バラツキが少なく、また高周波領域おいてより優れた電気的特性が期待できることを意味しています。図2はLTCC工法と薄膜工法とのカプラの電気的特性の比較を示しています。薄膜工法により製造された薄膜カプラは2GHz帯において、低い挿入損失と優れたパフォーマンスを示しています。

図2: LTCC工法および薄膜工法により製造されたカプラの挿入損失の比較

同等の結合度で従来のLTCC工法のカプラと比較した場合、TDKの薄膜カプラ(TFSCシリーズ)は挿入損失がきわめて低いという特長があります。



革新的な薄膜高周波部品
TDKは薄膜プロセス技術を使用した各種の薄膜高周波部品を製品化しています。薄膜カプラ(TFSCシリーズ)は、薄膜工法により0.65 × 0.50mm形状、高さはわずか0.25 mmという超低背型のカプラ。優れたパフォーマンス(図2)とともに、LTCC工法による従来製品(1.0 × 0.5 × 0.35 mm)と比べて格段の小型化、低背化を実現しています。

また、TDKはスマートフォン向けの薄膜プロセス技術応用製品として、ESD(静電気放電)保護機能付き薄膜コモンモードフィルタ(TCE1210シリーズ)も開発しました。マイクロギャップESD保護素子をコモンモードフィルタを統合、高速コモンモードノイズの抑制機能とESD保護機能の両方を単一の素子で実現した先進の小型薄膜部品です。この画期的な製品は、TDKがもつ最先端の薄膜パターニング技術に、コンパクトで高精度なコイルパターンと端子形成技術などを組み合わせて実現しました。床面積が非常に小さいことにより、さらなる高密度実装をサポートし、電子機器の省スペース化に大きく寄与します。このTCE1210シリーズは、ディスプレイポート(DisplayPort)の入/出力部ならびにスマートフォンのUSB端子での使用を目的に設計されています。



薄膜微細配線技術も高周波部品のスリム化に貢献しています。新しい薄膜BPF(バンドパスフィルタ)TFSBシリーズおよび薄膜ダイプレクサTFSDシリーズは、1.0 × 0.5 mm形状で高さ0.3 mmの低背化を実現しています。薄膜BPFは薄膜工法によりインダクタ部とコンデンサ部を形成して共振器を構成し、これを多段配列した素子です。小型ながら、よりサイズの大きなLTCC製品に匹敵するパフォーマンスを達成しています。2.4GHz帯また5GHz帯向けに設計されており、スマートフォンや携帯電話のBluetoothアプリケーション、無線LANアプリケーションなどに適しています。
また、薄膜バルンTFSZシリーズ、薄膜LPF(ローパスフィルタ)TFSLシリーズの外形寸法は0.65 × 0.50 × 0.25 mmであり、これはスマートフォンメーカが求めるさらなる小型化のニーズを満たすものです。

Z-matchは高周波モジュールにおけるインピーダンスマッチング用に設計された薄膜コンデンサです。先進の薄膜プロセス技術により、セラミック誘導体の薄膜の上に薄膜導電層を積み重ねることで製造されます。積層工法による従来の積層セラミックチップコンデンサと同等の0.4 × 0.2 × 0.2 mmサイズを実現するとともに、特性面では積層セラミックチップコンデンサをしのぎます。6.8 Ghz(2.2 pF)というきわめて高いSRF(自己共振周波数)とともに、ESL(等価直列インダクタンス)はより低くなり、ESRも低い値を示します。容量公差は±0.05 pFです。さらには端子構造を底面端子とし、高精度の切断プロセスにより、従来品と比較して高い寸法精度が実現しています。これはモジュール上における安定した高密度実装において欠かせない条件です。高周波モジュールの設計において求められる小型、ハイQ、狭公差をともに達成したのがTDKの薄膜コンデンサZ-match。優れたパフォーマンスをもつ小型・薄型の高周波モジュールを実現します。

図3: TDKが提供する薄膜高周波部品

薄膜プロセス技術によるTDKの小型・低背の高周波部品は、スマートフォンの設計に最適ソリューションを提供します。

また、TDKの薄膜電子部品は小型・低背であるため、TDKの SESUB(IC内蔵多層基板)技術などで製造される小型モジュール内への搭載にも適しています。SESUB技術については「さらなる小型・低背化」の記事をご覧ください。さらなる小型SIP(システム・イン・パッケージ)モジュールの製造に向け、約50 µmの厚みに研削されたICチップを多層基板内に埋め込む高度技術をご紹介しています。

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