2011年3月

太陽光発電設備向けバリスタ

太陽光発電設備の効率的な保護

太陽光発電設備とその電子機器を、過電圧や電流サージから保護する重要性が高まっています。TDK-EPCでは、信頼性が高く、コスト効率のよいソリューションとして、EPCOS製熱保護バリスタおよびガス入りサージアレスタを提供し、このニーズに応えています。

太陽光発電設備は、屋根などの太陽光に曝される場所に設置される設備で、その他の野外に設置されるものも増加しています。このため、過電圧が生じる危険が高く、ソーラーモジュールとインバータ間のDCラインや、電力ネットワークへのAC給電ラインが長いほど、過電圧の危険性が高まります。図1は、典型的なソーラーインバータの構造を示したものです。ソーラーモジュールから供給されたDC電圧をAC電圧に変換し、電力ネットワークに供給します。

図1:ソーラーインバータのブロック図

左:ソーラーモジュールの過電圧保護(OVP)およびインバータ入力; 右:ライン側過電圧保護(EMCフィルタリングを含む)

インバータ入力での広範囲の保護

一般に、ソーラーインバータのDC入力には、定格電圧1000 V DCの金属酸化物バリスタが使用されます。他方、扱うライン電圧によって異なりますが、インバータ出力には300 VRMSのバリスタを用いるのが通例です。いずれの場合も、追加の保護機能として、ガス入りサージアレスタを使用することがあります。図2は、ソーラーインバータのDC入力によく使用される回路の例です。最も単純な回路(図2a)では、定格電圧1000 VRMS、ディスク直径20 mmのバリスタを1個のみを使用しています。この場合、定格DC電圧は1414 V DCで、クランプ電圧は2970 V(100A)です。図2bの回路では2個のバリスタを直列に接続しています。図1の回路と同程度の保護効果をもつには、各バリスタを550 VRMS(745 V DC)で設計する必要があります。この回路の場合、クランプ電圧が2710 V(100A)となり、過電圧をより一層制限できるというメリットがあります。また、吸収されたエネルギーが2つのコンポーネントに分散されるため、ストレス因子の緩和にもなります。図2cの例では、ガス入りサージアレスタがバリスタと接地との間に追加で接続されています。この例では特に、片方または両方のバリスタに不具合が生じたりストレス印加による経年変化があったりする場合にも、十分に保護できます。両方のバリスタが故障した場合に連続伝導状態に移行しないように、アレスタを選択する必要があります。

図2:過電圧保護回路の例
バリスタ1個の回路(a)、バリスタ2個の回路(b)、バリスタ2個+ガス入りサージアレスタの回路(c)による過電圧保護

原則的に、電源供給ライン側は同じ回路オプションを使用します。欧州で一般的に使用される最大240 VRMSグリッド電圧の場合、定格電力300または320 VRMSのバリスタを選択する必要があります。これらの回路は基本的に、ライン制御用に設計された標準的な電力供給装置の入力回路とほぼ同じです。

 

ソーラーインバータは比較的新しい技術分野であるため、経年変化の実態や、それが保護コンポーネントに与える影響に関する長期試験の結果が得られていません。しかし、電源装置などの研究から、そのような劣化がセラミックバリスタのような半導体ベースの部品で生じやすく、これは低振幅で繰り返し印加されるパルス電圧が原因であることがわかっています。このような劣化は、リーク電流の上昇となって現われます。コンポーネント内で上昇するこうした電力損失を、対流電流によって放散できない場合、極端なケースでは加熱が進んで回路がショートし、バリスタの損傷に至ることがあります。

図3:EPCOS ETFVの回路図
EPCOS ETFVにはモニター出力が実装されている。LEDによってバリスタに異常がないことが示される。

標準化団体および保険業社の厳しい要件

ULやIECをはじめとする標準化団体では、このような安全性リスクを警戒しており、今後のアプリケーションではバリスタに熱監視機能を実装した上で、故障時には回路から切り離すよう勧告しています。もっとも、最近発表されたIEC 62109-1規格「太陽光発電システムで使用する電力変換装置の安全性-第1部:一般要求事項」では、この問題を明示的に扱っていません。他方、最新版IEC 60950-1等、その他の規格では、IEC 61051-2-2および付属文書Q(IEC 60950-1)に適合するバリスタのみを使用するよう明確にしています。また、バリスタに適合するヒューズの使用も勧告しています。

保険会社の要件は一層厳しく、出力50 kW以上の太陽光発電設備にはIEC 61643-11カテゴリII(雑則)に準拠した過電圧保護機能を実装するよう求めています。

EPCOS ETFVシリーズの技術仕様

パラメータ/タイプ
定格電圧 [V AC]130~420; 115~1000(20 mm ディスク)
サージ電流能力 [kA]6、10、および20
応答時間 [ns]25未満
最大エネルギー吸収(2 ms) [J]50~700
動作温度 [°C]-40~+85
EPCOS ETFVシリーズのピンは、回路基板に実装するほか、ねじクランプを使用して装置外部に取り付けられるよう設計されており、故障時の取り換えも簡単。図はETFV 20 mmディスク。

標準化団体や保険会社の厳しい要求にソーラーインバータ製造業者がコスト効率よく対応できるようにTDK-EPCが開発したのが、ETFVシリーズ(EPCOSサーモヒューズバリスタ)です。このシリーズのコンポーネントは、バリスタとサーマルヒューズからなる直列回路で構成されています。バリスタの劣化が進み、リーク電流が増加して過電圧が生じると、ヒューズが飛びバリスタを切り離します。また、このコンポーネントの特徴とし挙げられるのが、モニター用ラインです。ラインをバリスタとサーマルヒューズとの間にある接点まで伸ばすことで、LEDを駆動するのに必要な電流を供給できるようになっています(図3)。

二方向保護のバリスタ
バリスタはモノリシックセラミック構造の電圧依存性抵抗器です。その動作は定格電圧と電流能力で決まります。応答電圧よりも低いときはコンポーネントの抵抗が非常に高く、µAレンジのリーク電流がごくわずかに流れるだけです。印加電圧がコンポーネントの定格電流を越えると、バリスタは伝導性となって数アンペアの電流に耐えることができます。短期間であれば、数kAの電流にも耐えることができます。
一定の応答電圧が印加されると、バリスタは伝導性となり、それ以上電圧が上がらないようになります。これは正電圧にも負電圧にも働くので、二方向に保護できることとなります。

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