2012年5月

EV/HEVの高効率充電をサポート

小型オンボードチャージャー用のさまざまな製品

インダクタ、トランス、コンデンサ、EMC対策部品など、EPCOSとTDKの電子部品は、FinepowerのEV(電気自動車)/HEV(ハイブリッドカー)用のOBC(車載充電器で重要な機能)を担っています。

FinepowerはきわめてコンパクトなEV/HEV用のOBC(車載充電器)の試作品を開発しました。 この装置はドイツ自動車業界の仕様と技術的条件に基づき、高出力密度とともに高効率を実現したOBCです。高出力密度と高効率は、どちらもEV/HEVに搭載するうえでの重要な要素です。

この充電システムの省エネ設計は、信頼性試験のAEC-Q200仕様に準拠して一定範囲の用途に特化したチョークやトランスなどの開発によって可能になりました。

十分に保護された電源入力
EPCOSのバリスタB72220F0271K101は、コンバータの電源入力を過電圧から保護するEMC対策部品です。 特殊なコーティングにより、EV用バリスタとしての機械的安定性を大幅に向上させました。また、EPCOSのB57364S1509M ICLは、大きな突入電流を制限するために用いられます。どちらもAEC-Q200に準拠しています。

Finepowerの開発者はEMCとEMIフィルタリングを確保するため、産業用電源にも用いられるEPCOSの標準チョーク類を選択しました。 コンデンサはEPCOSのX2ヘビーデューティシリーズから、高い信頼性と長い耐用年数を特長とするタイプB32933C3155Mが選択されました。

直流結合回路は、EPCOSのアルミ電解コンデンサB43508B5337MとB43504B5337M+によって安定させます(定格電圧450 V DCで静電容量は330 µF)。また、TDKのメガキャップCKG57NX7R2J474MTシリーズを並列に接続することでESRを抑制します。 直流結合回路の小型化と高出力密度を両立させるには、この方法しかありません。

特殊なPFCコンセプトで効率向上
開発プロセスで特に注力したのは、充電器の最大効率を実現することです。 送電線からの供給電力を最大化するには、充電器にはアクティブなPFC (力率改善)が必要です。 PFCは電力線の交流電圧を整流すると同時に400 V DCの内部直流結合回路を生成し、それが充電回路となります。 ブーストコンバータの原理に基づくPFC回路は、最先端の製品として普及しています。

400 V DC結合回路で電源電圧の変換時に損失を受ける素子:

  • EMIフィルタ(銅損)
  • ブリッジ整流器
  • PFCチョーク
  • パワースイッチ(MOSFET)
  • PFCダイオード
  • 直流連結回路のアルミ電解コンデンサ、シャントなどの素子によっても他の損失が発生します。

従来のソリューションでは、設計や最適化に応じて、入力電圧230 V ACで96~97 %の効率が得られます。 つまり入力電源が3.65 kWの時、そのうちの110~146 Wは、それが直流連結回路で使用される前に熱損失に変換されます。

図1: インターリーブ方式のPFC段

2つのPFC分岐と対応するEPCOS PFCチョークの並列接続は、大きなリップル電流負荷を分割します。 これによって効率とEMCが向上します。

この回路構成では2つのPFC段が共同出力に並列接続されているので、1つのPFCチョークで全負荷を担う場合の悪影響を50 %低下させ、その結果、リップル電流も抑制します。 インターリーブ方式には2つのチョークが必要ですが、それぞれのチョークに半分の電流(8 ARMSまたは22 APK)を配分できるので、かなりの簡素化につながります。 EPCOS PFCチョークの新たに開発されたeモビリティ・プラットフォームシリーズの非常にコンパクトな設計は、この目的のために使用されます(図2)。

図2: 新しいeモビリティ・プラットフォームのEPCOS PFCチョーク
これらのEPCOSチョークはコンパクトでありながら、定格ピーク電流は最大22 Aです。

EPCOS PFCチョークは、体積を小さくできる特殊コア材料や巻線用RF標準ワイヤの使用などによって損失を低く抑えているので、この用途に最適です。 図3は両方のチョーク電流の重ね合わせの原理を示しています。

図3: 重畳チョーク電流


重畳チョーク電流は電力線から近似正弦電流入力を生成します。

230 V電力線の測定値を見ると、定格負荷の40~85 %(1.3~2.8 kW)でPFC段の効率は98 %を超え、全負荷(3.3 kW)で97.5 %にも達します。 従来のPFC段にくらべて、最初のOBC単独の段で35~70 Wの電力損失が解消します。

高効率のDC/DCコンバータ
400 V DCの安定した中間回路電圧を供給されるDC/DCコンバータは、電力線から電気的に分離されたバッテリに、高い信頼性で充電電圧を供給する必要があります。 OBCの出力電圧の範囲は、設計とバッテリの充電状態に応じて200~420 V DCに設定されています。 充電電流と最終充電電圧は、どちらも装置の通信インターフェイス(CANバス)によってプログラム・制御可能でなければなりません。

OBCの全体損失を最小化するには、DC/DCコンバータの効率を最大化する必要もあります。 しかし、このスイッチング段では信頼性の高い電気的分離が必要であるため、スイッチング段の効率はPFC段ほど高くすることはできません。 共振ブリッジトポロジーの絶縁型DC/DCコンバータでは、現時点の最先端技術で最高の効率が得られます。 この目的のために移相コンバータとLLC回路のどちらかを使用します。 どちらの場合も、ドレイン-ソース間電圧が0で半導体の損失が非常に低いときトランジスタは常時つながります。

LLCコンバータ(図4)の利点は、この完全な共振トポロジーにより負荷回路に常に十分なエネルギーが蓄えられ、ブリッジノードの自律的スイッチングが確実に機能することです

図4: フルブリッジLCCコンバータ

Finepowerは、フルブリッジコンバータのeモビリティ・プラットフォームのEPCOSインダクタを採用しています。 これは共振インダクタ(LR)とトランス(TF)のどちらにも適用されます。

フルブリッジLLCコンバータでは、EPCOS eモビリティ・プラットフォームシリーズのインダクタも使用されます。 最大出力電圧は420 V DCで、入力電圧400 V DCと同じ範囲にあり、LLCコンバータの伝達関数により、電圧を上下させることができます。 トランスで伝達比を1:1に指定して、損失を最小化すると便利です。 1次側トランスはフルブリッジにより±400 Vで動作し、2次側でブリッジ整流後に400 V DCに戻されます。

LLC方式では、負荷電流のほかに共振電流のかなりの成分も変換する必要があります。共振電流は半導体素子だけでなく銅素子(回路基板、共振インダクタ、トランス)でも余分な電力損失につながります。 フルブリッジ回路の1次側トランスの電圧をハーフブリッジの2倍にすると、電流は2分の1になります。 伝達比を高くするほど銅抵抗性(線形)も高くなり、半導体部分はRDS(on)の2倍になります。 線路損失は電流の二次関数(PD=I2R)であることから、無用な電力損失は避けられます。

定格運転(1.2~3.3 kW)時のフルブリッジLLCコンセプトにより、電力線からの確実な分離にもかかわらず、常に97 %を超える効率が得られます。 同時に、擬似共振フルブリッジの原理により、EMC特性が改善します。

表: Finepowerの車載充電器に使用されるEPCOSとTDKの素子

タイプ注文コード
バリスタEPCOSB72220F0271K101
ICLEPCOSB57364S1509M
X-コンデンサEPCOSB32936C3565M
X-コンデンサEPCOSB32933C3155M
Y-コンデンサEPCOSB81123C1682M
アルミ電解コンデンサEPCOSB43504B5337M
MLCCTDKCKG57NX7R2J474MT
ゲートドライブトランスEPCOSB82801C2245A200
PFCチョークEPCOSB78547P2176A005
共振インダクタEPCOSB78547P2175A005
電源トランスEPCOSB78547P2177A005


リファレンスデザインや個別の使用法に関する詳細は、
design-solutions@epcos.com までお問い合わせください。

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