2012年4月

高圧セラミックコンデンサ

配電線の電圧変動を検出、スマートグリッドにも貢献

太陽光・風力発電設備による発電シェアの増加に伴い、信頼性の高い安定した電力網の運転を保つためにインテリジェントな制御システムの重要性がこれまで以上高まっています。許容差がきわめて小さいTDKの高圧セラミックコンデンサは、センサ内蔵自動負荷開閉器(IT開閉器)に使われる重要な素子です。


最近まで、ほぼすべての電力は比較的少数の火力発電所や原子力発電所で発電され、変電所での電圧調整を経て、工場や家庭に配電されていました。つまり、発電と配電は電力会社から消費者への一方通行でした。それが現在では、太陽光や風力の発電設備の急増に伴い、多数の広く分散した消費者側の小規模発電装置からも大量の電力が供給されるようなっています。

このような分散電力供給システムがもたらす大きな問題の1つは、太陽光・風力発電が天候に左右され、安定しないということです。そのため電力会社は、地下や地上の配電線に流れる電気の区間ごとの電力品質(電圧、電流、位相角など)を常に監視・調整する必要があります。そこで電力会社は、配電ネットワーク内の電圧変動を自動監視して配電ネットワークの高度運用を支援するIT開閉器、すなわち電圧センサを内蔵したインテリジェントな自動負荷開閉器(図1)を設置しています。 TDKの高圧セラミックコンデンサは、このIT開閉器の電圧センサ部の重要な素子であり、分圧用コンデンサとして採用されています。

図1: スマートグリッド内の自動負荷開閉器

従来から配電ネットワークには、ある区間で問題が発生したときにその区間を切り離して停電領域を最小にするため、多くの開閉器が設置されています。 図のように、IT開閉器には配電網線の電圧変動を監視するセンサ機能が組み込まれています。

幅広い温度範囲で安定した性能

電圧センサの基本構成を図2に示します。 センサ部回路は、高圧コンデンサと低圧コンデンサが並列接続されています。 配電線の電圧変動を高精度で検出するには、電圧センサに使用する高圧コンデンサの電気特性が周囲温度や電圧レベルの影響を受けないようにする必要があります。 そのため、高圧コンデンサには-20 °C~+70 °Cおよび最大配電電圧3810 VRMSの条件下で静電容量が変化しないこと、また低圧コンデンサにもそれと同様の電気特性が求められます。 また、コンデンサは開閉器の3相電線のIN側とOUT側にそれぞれ取り付けられ、開閉器1台につき6個を使用することから、相応に小型でなければなりません。

図2: センサ部回路の概要図

IT開閉器には、高圧コンデンサと低圧コンデンサが並列接続されています。 どちらも静電容量の許容差がきわめて小さいコンデンサであることが求められます。

TDKのセラミックコンデンサFDシリーズの設計基準に基づき、新たに開発されたセラミック材料は、C0G温度特性(0±30 ppm/K)を保ちながら比誘電率が90を超えます。このすぐれた特性は、チタン酸バリウム系組成に希土類元素を添加することで実現しました。誘電率が高く温度特性の安定したセラミック材料により、コンデンサを小型化してIT開閉器に組み込むことが可能になります。

堅牢な設計
TDKの高圧セラミックコンデンサは、耐久性のある堅牢な設計を特長としています(図3)。 セラミック素子の対向両面に銀電極を焼結形成して、これを金具端子で挟んではんだ付けし、絶縁性と耐湿性に優れたエポキシ樹脂でモールドしています。AC耐電圧は30 kV、インパルス耐電圧は±65 kV各3回を十分満足します(下表参照)。 また、さらに高い絶縁性能を持った仕様にも対応し、RoHSに準拠しています。

図3: TDK の高圧セラミックコンデンサの基本構造

TDKの高圧セラミックコンデンサは非常に堅牢に設計されています。 銀電極をセラミック素子の対向両面に取り付け、金具端子で挟んであります。

表: TDK UHVセラミックコンデンサの主な技術データ
AC耐電圧/60秒 [kVRMS]30
雷インパルス耐電圧/印加電圧 [±65 kV] 各3回印加電圧各3回
絶縁抵抗/DC1 kV 60秒値 [MΩ]105以上
静電容量 ±5%/1 kHz VRMS [pF]50~150
誘電正接/1 kHz VRMS [%]≤ 0.2
静電容量温度特性 [ppm/K]0 ±60
部分放電開始電圧 [3 pC 50 Hz kVRMS]≥15

完全にマッチしたコンデンサペア

従来型の開閉器では、高圧側と低圧側のコンデンサの静電容量温度特性は特に気にする必要はありませんでした。 しかし、IT開閉器では、温度変化の影響を最小限にする必要があります。 この要求に応えるため、高圧セラミックコンデンサを同じC0G温度特性のTDK の積層型リード付きセラミックコンデンサFKシリーズと組み合わせたところ、電圧センサとして良好な結果が得られました。 高圧側と低圧側のコンデンサは、それぞれの静電容量値に応じて、出力電圧と分圧比が一定になるように組み合わせて納入しています。


TDKの高圧セラミックコンデンサと積層型リード付きセラミックコンデンサFKシリーズ(図4)を組み合わせると、-20~+70 °Cの範囲でフラットな出力信号が得られます。 これにより、配電線の電圧降下・上昇を高精度に検出でき、その情報をもとに各区間に設置された電圧調整機器で電圧安定化を図ることが可能になります。

図4: セラミックコンデンサFKシリーズ

TDKの高圧セラミックコンデンサと積層型リード付きセラミックコンデンサFKシリーズを組み合わせると、幅広い温度範囲で一定の電圧比が得られ、配電線の電圧変動が高精度に検出できるようになります。

高圧用の幅広い仕様に対応
TDKのセラミックコンデンサは、40年以上におよぶ配電用コンデンサ開発の実績を生かし、幅広い仕様に対応した高圧用製品を取り揃えています。家庭に届くまでの配電線用の電力遮断器といった従来用途のほか、医療機器(x線撮影装置)用の高圧装置、レーザや電子顕微鏡用の充放電機器などがあります。また、TDKの先進的な製品群はスマートグリッドのような新しい分野にも用途を広げ、エネルギー効率改善にいっそう貢献していきます。

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