2013年4月

再生可能エネルギー用EMC対策部品

電力網への干渉の除去

再生可能エネルギーの利用は世界的に拡大しています。ますます複雑化するシステムやその設置数が増えると、EMCソリューション、特に新しい大電力用コンバータの必要性が高まります。TDKのEMC対策部品は、風力発電所が電力網に干渉をもたらさないようにするために使われます。

風力タービンのロータ、発電機、ギア、そしてコンバータは、めざましい開発が続けられており、システム性能は著しく向上しています。このため2.5 MW以上の出力もすでに実現されています。パルス幅変調(PWM)方式のインバータを使用することで、今や風力タービンの効率は大きく改善しました。これはタービン速度と風の強さがより柔軟にマッチすることで達成されます。さらにインバータが必要に応じて位相シフトを調節できることが利点です。しかし、インバータのスイッチング動作により、設計にもよりますが、1 kHz ~5 kHzのスイッチング周波数帯で干渉を生じます。また、将来的には、パワー半導体の開発進展に伴い、この周波数帯はより高くなることが予想されます。

理想的な正弦波形から逸脱すると、電力網の損失をもたらし、ひいては負荷の損失にもなります。歪みと高調波の防止に関して、電力施設に課される要件は必然的に厳しくなります。

パワーチョークコイルをインバータの出力側で利用する方法は広く用いられており、それによって理想的な正弦波形に近いものがすでに得られています。しかしながら、スイッチング周波数とその高調波の残留という問題が残ります。

図1:コンバータの出力フィルタ

チョークコイルL4~L6を組み合わせることによって直列共振回路を作り、スイッチングにともなう干渉を抑制します。

チョークコイルL1~L3とL1’~L3’(図1)には、変換器の総負荷電流が流れます。これらチョークコイルのインダクタンス値とコア材により、チョークコイルがスイッチング周波数に及ぼすフィルタ効果が決まります。しかし、インダクタンス値を大きくするとチョークコイルの体積も増えるため、冷却手段とかなりのコストが必要になります。これらはいずれも、風力タービンのインバータ設計に制限を与える要因となります。

このような問題に対しては、チョークコイルL4~L6と パワーコンデンサB3236*またはB2536*シリーズを組み合わせた直列共振回路を接続することにより解決可能です(図1)。この回路はスイッチング周波数を十分に減衰でき一方、実際の負荷電流に曝されません。この回路を効果的に働かせるためには、チョークコイルのコアが磁気飽和しないように用いる必要があります。

フェライトコアの利点

フェライトは、特に50 kHzよりも高い周波数で動作するトランスやチョークコイルのコア材として用いられています。この選択肢に対抗するのが、フェライトの代わりに高い飽和磁束密度をもつ新素材を用いる取り組みです。ただ、改良されたこのような材料は、レアアースを必要とするため高価です。特に、大電力の共振回路やチョークコイルに必要とされる大きなコアに使用するには欠点となります。

フェライトコアは、より安価な材料と比較した場合でも、切替周波数が2.5 kHz~25 kHzの共振回路に用いると、コストパフォーマンスにおいて有利であることが証明されています。方向性ケイ素鋼板や鉄系コアでは、スイッチング電流による損失がはるかに大きくなり、過熱に至ります。フェライト材は酸化物であるため損失が小さく、また耐食性もあります。

チョークコイルの設計によっては、フェライトの飽和磁束密度の低さを相殺して、定格電流を2倍まで延ばすことができます。図2は、EPCOS新型200A用共振回路チョークコイルの直流重畳特性を示したものです。

図2:新型200A用共振回路チョークコイルの直流重畳特性


新型チョークコイルはフェライトならでのコア特性により、定格電流が2倍になっても、インダクタンスはわずか2 µHしか低下しません。

軽量アルミニウム巻線によるコストダウン
アルミニウム巻線を用いたEPCOSチョークコイルは、銅線に比べてコストパフォーマンスに優れるだけでなく、重量も少なくてすみます。アルミニウムストリップと銅のコネクションアングルとの組み合わせにより、アルミニウムと銅との接触部はコイル内部で保護されています。また、高性能のエポキシ樹脂でチョークコイルを真空含浸させるため、銅とアルミニウムとの接触部が湿気や酸素から完璧に保護されます。図3は、3相フェライトチョークコイルです。

図3: 3相フェライトチョーク
ステンレススチールのフレームは輸送・組立時の損傷を防止します。

溶剤を使用しない含浸樹脂は、チョークコイルの使用寿命期間全般にわたり亀裂の発生を防ぎます。もし、このような亀裂があると、接点からの湿気や酸素の侵入を許し、端子部の電食に至ります。銅製の端子レールは、使用時にチョークコイルが塩水にさらされた場合であっても、接点の電食を防止します。また、ステンレススチールのフレームが中核部全体を包み込み、輸送・組立時にチョークコイルを保護し、使用開始前の損傷リスクを最小限に抑えます。フレームは非磁性体であるため、漏れ磁束による損失も生じません。

3相フェライトチョークコイルの主な仕様

定格電流 [A]130
インダクタンス [µH]12
試験電圧 [V AC]3000
寸法 [mm]200 × 150 × 220
重量 [kg]9
最大温度 [°C]180

フェライトコアとアルミニウムストリップ巻線を用いた 3相チョークコイルの長年にわたる開発・製造実績から、このように斬新なチョークコイルの生産が可能になりました。風力発電のきわめて過酷な使用環境に耐えることができ、他のソリューションと比べてコスト面でもまさっています。

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