TDK Electronics

スマートフォン向けHigh-Q積層チップインダクタ

2014年5月2日

High-Q特性を小型・低背形状で実現

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TDKでは、スマートフォンやタブレット端末などの高周波回路用に最適設計された新シリーズの積層チップインダクタを開発しました。すぐれたHigh-Q特性を小型形状で実現しているのが特長です。

マルチバンド化や多機能化の進展とともに、LTEスマートフォンなどにおいては、従来以上に多くの周波数帯域や通信規格への対応が必要となっています。また同時に、スマートフォンやタブレット端末などのモバイル端末は、無線LAN、Bluetooth、NFC、GPS、ラジオやテレビの受信など、無線技術による多様な機能も提供します。このため、搭載される高周波回路の拡充ともに、インピーダンスマッチングやフィルタ用として使用されるインダクタの数もそれに合わせて増加しています

高周波回路には高いQ値(品質係数)のインダクタが求められます。巻線型インダクタは高いQ値が得られますが、構造上、小型・低背化には限界があり、また、インダクタンス値の狭公差化も困難です。

そこで、TDKが新開発したのが、超High-Q特性の積層チップインダクタMHQ0603PシリーズおよびMHQ1005Pシリーズです。実装面積がそれぞれ0.65 × 0.35 mm、1.00× 0.50 mmという小型化と、高さはそれぞれ0.6 mm、0.35 mmという低背化により、回路基板の省スペース化に大きく貢献します。また、個々のフィルタ回路などでの使用のみならず、フロントエンドモジュールなどの高周波モジュールへの搭載にも適しています。

すぐれたQ-周波数特性と小さな挿入損失

高周波回路で使用するインダクタにおいて、きわめて重要な特性であるQ値は、次の式で表されます。

Q =ωL/R L:見かけのインダクタンス
R:直流抵抗
ω:角周波数(2πf)

Q値が高いほど、高周波信号の減衰は少なくなり、挿入損失も低減します。このため、スマートフォンやタブレット端末など、バッテリ駆動の機器では、可能な限り減衰を最小限に抑える必要があります。Q値の高いインダクタを使用することにより、パワーアンプ部には最小電力を供給するだけで済み、バッテリの節約になるからです。新シリーズ品、既存製品、および巻線型インダクタ(3.9 nHタイプ)のQ-周波数特性の比較を図1に示します。

周波数関数としての品質係数
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図 1:

TDKのMHQ-P新シリーズと、既存のMLGシリーズおよび同サイズの巻線型インダクタにおけるQ-周波数特性の比較(3.9nHタイプ)。周波数範囲全体にわたって新シリーズがすぐれたQ値を提供していることがはっきりと確認できます。.

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図 2:

TDKのMHQ-P新シリーズと、既存のMLGシリーズおよび同サイズの巻線型インダクタにおけるQ-周波数特性の比較(3.9nHタイプ)。周波数範囲全体にわたって新シリーズがすぐれたQ値を提供していることがはっきりと確認できます。.

MHQ0603PタイプおよびMHQ1005Pタイプの開発にあたって、TDKでは必要とされるHigh-Q特性を実現するため、独自の誘電体材料や電極材料とともに、新たな材料設計と加工技術を採用しました。また、きわめて高精度なLTTC(低温焼成セラミックス)多層基板プロセスも適用しています。これらの技術を組み合わせることにより、従来の積層チップインダクタ(MLG0603PおよびMLG1005S)に比べて、Q値はMHQ0603Pタイプで30 %増、MHQ1005Pタイプで80 %増という高特性を達成しました。MHQ1005Pシリーズの1000 MHzにおけるQ値は60に及び、これは従来の巻線型インダクタの値に相当します。新シリーズMHQ-Pシリーズと既存製品MLGシリーズとの通過帯域特性の比較を図2に示します。

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図 3:

Tx帯域とRx帯域の減衰曲線

TDK MHQ1005Pタイプは、そのすぐれたQ特性により、既存製品と比べて減衰が少なくなっています(特にTx帯域)。

狭公差の豊富な製品ラインアップ

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TDK MHQシリーズの積層セラミックインダクタ

高周波回路のインピーダンスマッチング用としては、挿入損失や特性変動を可能なかぎり抑制するために、きわめて狭公差のインダクタが必要になります。さらに、High-Q特性と狭公差に加えて重要なのは、きめ細かなインピーダンスマッチング調整を可能にするための製品ラインアップの豊富さです。TDKのMHQ0603PタイプおよびMHQ1005Pタイプでは、3.9 nH以下で0.1 nH間隔というきわめて小さなインダクタンスステップで提供しています。このため、高周波回路やインピーダンスマッチング回路網に対するきわめて正確な調整が可能になります。また、標準的なインダクタンス公差は±5 %ですが、現在TDKでは、0.1 nHステップに対応するために、インダクタンス公差±3 %の実現にも取り組んでいます。

TDK MHQシリーズの積層セラミックインダクターに関する主要データ

シリーズMHQ1005PMHQ0603P
インダクタンス値[nH]0.7~1500.6~39
動作温度[°C]–55~+125–55~+125
最大直流抵抗[Ω]0.03~3.000.07~3.00
定格電流[mA]110~1200160~1000
寸法[mm]1.00 × 0.60 × 0.500.65 × 0.35 × 0.35


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