2017年3月

リファレンスデザイン

インバータの最大効率

TDKはインフィニオンテクノロジーズと共同で、10kW150kWの電力範囲で98%以上の非常に高い効率を実現するxEVインバータを開発しました。この成功はインフィニオンIGBTモジュールとEPCOSTDKの受動部品のマッチングにより実現しました。

新型のインフィニオンHybridPACK™ドライブIGBTモジュールはコンパクト設計と高効率を特徴としています(e-モビリティ用途の必須基準)。FS820R08A6P2Bモデルは最大電流820Aとブロッキング電圧750V用に設計されており、冷却用のピンフィン・ヒートシンクを備えています。これらのモジュールは最大150kWの出力電力での駆動を実現できます。電力が小さい場合は平らなベースプレートをもつFS660R08A6P2FBを代替品として使用できます。このIGBTモジュールは同じ電気的挙動で最大電流660A用に設計されています。HybridPACK™製品はxEVおよび産業用アプリケーションのさまざまな電力クラスに優れたスケーリングを実現します。

製品シリーズには既にさまざまなモジュールフレームが用意されていますが、電流センサを簡単に実装できるように負荷端子の溶接での接合(FS820R08A6P2)とロングモータ端子付きフレーム(FS820R08A6P2LB)のものがあります。

R08A6P2シリーズのモジュールはすべて、スイッチングモードで最大175℃のバリア層温度用に設計されたインフィニオンの最新世代のEDT2-IGBTチップをベースにしています。チップセットは強固でショートに対して耐性があり、過酷な環境条件下であっても非常に高いレベルの信頼性を確保します。実際と同じ使用条件下でR08A6P2シリーズは最大98%の効率を実現します(図1)。このモジュールは6kHz〜10kHzの範囲のスイッチング周波数に最適化されています。

 

図 1: 8kHzのスイッチング周波数で評価キットを使用して測定したコンバータ損失。
10kW~150kWの電力範囲の効率は98%(動作電圧450V、cosφ=0.85)を超えます。
これによりプラグインハイブリッド車向けの品揃えが向上されます。

接続部の間隔が広いので、優れた絶縁性と最小のリーク電流を実現しており、将来の高電圧化にも適応しています。図2にDCリンク用のEPCOS PCCコンデンサと、冷却プレート、コントローラ、およびドライバ基板付きHybridPACKモジュールとで構成されるインバータの完成品を示します。

 

図 2: 最大150kW電力出力用モータインバータ完成品。
最も重要な受動部品はDCリンク用のEPCOS PCCコンデンサです。完成品は評価キットとして入手できます。

DCリンク用のコンパクトなソリューション

この設計は、2つのEPCOS PCCコンデンサを対象としており、その他のHybridPACKモジュールも使用できます。B25655P5507K051タイプは積層巻線設計を採用して500V DC用に設計されており、500μFの静電容量で最大160Aまでの連続電流に耐えることができます。積層巻線技術の大きな利点はその体積充填率が高くほぼ1であることです。寸法は154mm×72mm×50mmです。

第2のタイプ(B25655P5407K1512)は低コストフラット巻線設計に基づいており、体積充填率がやや低いため同じ寸法で連続電流140Aに対して400μFの静電容量を実現しています。設計時には、DCリンクコンデンサが最大電流負荷で十分に冷却されていることを確認することが重要です。

DCリンクコンデンサのESL値およびESR値の低いことがインバータの設計を成功させる上で重要です。ESL値が十分に低いことによってのみ、IGBTをスイッチングするときの電圧ピークおよび発振を排除、または少なくとも最小化することができます。リストされたPCCはわずか15nHのESLを特徴とします。損失の原因となるESR値は、それぞれ0.5mΩまたは0.7mΩです。これらの低い値は、HybridPACKモジュール(図3)と完全に合う6つの端子がある大きなバスバーにより実現します。バスバー設計の改良により、将来的には10nH未満および0.5mΩ未満の値を実現できる見込みです。

 

図 3: EPCOS PCCのバスバーには6つの大きな端子がありESLとESRを確実に最小限に抑えます。

上記のコンデンサの生産ラインは自動車用製品の要件に準拠し最大限の信頼性を確保しています。ここで特に重要な要素の1つは、その品質が基本的に電流容量と電力損失を決定する内部バスバーの溶接です。高信頼性とは別に、EPCOS PCCは優れたEMC性能を提供して、約100MHzのFM帯域で優れたノイズ抑制を保証します。

ガルバニック絶縁 -車載電子部品の重要な機能

ドライバ基板には3つのハイサイドIGBTと3つのローサイドIGBTにゲートで必要なスイッチング信号を供給するという役割があります。障害発生時にドライバ基板への電源電圧の絶縁破壊を防ぐため、ドライバ回路とIGBT間の十分なガルバニック絶縁を確保することが重要です。この目的のために極めて重要な部品はゲートドライブトランスです。図4に絶縁IGBTドライバに給電する回路を示します。


 



図 4: ゲートドライブトランスの役割は高電圧側と低電圧側の間のガルバニック絶縁を確保することです。


このリファレンスデザインでは6個のB78307A2276A003(P100403)EPCOSゲートドライブトランスを使用しています。これらにより2.5kV (1 min, 50Hz)の必要な高絶縁電圧を確保します。巻数比は1:1.08でインダクタンスは100μHです。高絶縁耐圧にもかかわらず、トランスの寸法はわずか11.7mm×13.5mm×11.35mmです。1次側と2次側の間のリーク電流パスは6mmで、500Vの連続動作電圧を持つコンバータに適しています。

干渉のないロジック

コントローラ基板はインバータ全体の制御を想定しています。その中心はAURIX™車載シリーズのインフィニオン32ビットTC277マイクロコントローラです。ロジックが確実に動作するように、TDKのACT45B-101-2P-TL003 CAN-bus用コモンモードチョークをインターフェイスに使用しています。周波数が10MHzで、これらのチョークは5.8kΩのコモンモードインピーダンスを示して干渉のないデータトラフィックを実現します。AEC-Q200に準拠したこの製品は、寸法がわずか4.5mm×3.2mm×2.8mmで、世界で最も小型のものです。TDK MMZ1608R600ATチップビーズは信号ケーブルにノイズ抑制機能を追加します。

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