2014年1月

モバイル機器向けEMC対策部品

ESRを活用した新たなノイズ対策部品

スマートフォンやタブレットPCの高機能化・多機能化が進むにつれ、設計の焦点は電力効率に当てられるようになっています。TDKが新開発したノイズアブソーバYNAシリーズは、電源効率を低下させることなく、モバイル機器のDC-DCコンバータのノイズ抑制やデカップリング回路における反共振抑制にすぐれた効果を発揮します。

スマートフォンの電源回路に搭載されるDC-DCコンバータは、リンギングと呼ばれるノイズを含む高周波のEMI(電磁ノイズ)を発生します。これは、MOSFETなどの半導体素子の高速スイッチングによるものです。このノイズを抑制し、半導体素子を保護するために、一般的にはRCスナバ回路が電源の入力段に並列に接続されます。標準的なコンデンサは低ESR(等価直列抵抗)値に最適化されており、ノイズ抑制の目的で効果的な共振回路を完成させるには、インピーダンスを十分に高く維持できるように抵抗器が追加されます。従来のRCスナバ回路は、効果的にリンギングをはじめとするノイズを抑えることができますが、電源効率を最大で4%ほど低下させてしまいます。このため、従来のRCスナバ回路は、バッテリの持ち時間をできるだけ長くする必要があるスマートフォンや他のモバイル機器に適していませんでした。

図1:共振回路におけるコンデンサのインピーダンス

コンデンサの自己共振周波数(SRF)では、インピーダンスはコンデンサのESR値のみに依存します。

YNAノイズアブソーバによるは電子部品の保護

そこで、電力損失なしにノイズを抑制するために、TDKが開発したのがノイズアブソーバYNAシリーズです。ESRを意図的に高く設定しているため、この積層EMC対策部品は、抵抗器を追加することなく、EMIとリンギング電圧を抑制することができます。また、ノイズアブソーバYNAシリーズは、DC-DCコンバータの入力段のコンデンサを置換して使用することができます(図2)。

RCスナバ回路では、インピーダンスがコンデンサの自己共振周波数(SRF)において低下すると、リンギング電圧が発生します。ノイズアブソーバYNAシリーズを用いると、水平および垂直方向の両方向のEMI放射を、最大3.5 dB効果的に低減することができます(図3)。

図2:DC-DCコンバータの基本回路図

ノイズアブソーバYNAシリーズは、DC-DCコンバータの入力段のコンデンサを置換して使用できます。

図3:DC-DCコンバータでのノイズ抑制

ノイズアブソーバYNAシリーズを用いると、水平と垂直両方向のEMI放射を、最大3.5 dB効果的に低減することができます。

ESR値が選択可能な革新的な電極構造

ノイズアブソーバYNAシリーズは、省スペースと電力効率にすぐれたソリューションを提供します。YNAシリーズは、3つの電極からなる3端子構造の積層チップ部品で(図4)、2つの端子電極と回路に接続されない1つの外部電極(NC電極)で構成されています。NC電極は内部電極に接続されていますが、回路とは接続されません。NC電極に接続された内部電極の数、組み合わせおよびパターンを変化させることにより、ESR値をコントロールできるのが特徴です。

図4: YNAシリーズの電極構成

ノイズアブソーバYNAシリーズは、2つの端子電極と1つの外部電極(NC電極)をもつ3端子構造の積層チップ部品。NC電極は内部電極に接続されていますが、回路には接続されません。

デカップリング回路の反共振の抑制

DC-DCコンバータのリンギング電圧やEMIの抑制に優れた性能に加え、YNAシリーズはデカップリング回路の反共振の対策にも効果的に利用することができます。一般に、デカップリング回路では、単一のコンデンサでは低い周波数から高い周波数までの広い周波数範囲に対応できないため、複数の異なるコンデンサを組み合わせています。その目的は、広い帯域にわたって低インピーダンスとして、電圧変動の影響を抑制することです。

反共振とは、自己共振周波数(SRF)が異なる2つのコンデンサを並列使用した場合、2つの自己共振周波数の中間の周波数領域で並列共振が起きる現象です。1つのコンデンサの誘導性領域(SRFより高域のインダクタとして作用する領域)に、もう1つのコンデンサの容量性領域(SRFより低域のコンデンサとして作用する領域)との共振により、図5に示すように、高いインピーダンスピークとノイズ電流の増加を引き起こすのです。その結果、電源電圧に急激な変化が起こり、伝送信号上にジッタや遅れを発生させる可能性があります。このため、論理エラーが発生したり、最悪の場合、半導体部品に損傷を与える過電圧を電源が発生する可能性もあります。

図5:ノイズアブソーバ YNAシリーズによるデカップリング回路の反共振の防止

デカップリング回路でESR値が低い標準MLCC(積層セラミックチップコンデンサ)を使用した場合、反共振によるインピーダンスピークが発生し(赤曲線)、回路故障の原因となります。これに対して、ノイズアブソーバYNAシリーズは、選択可能なESR値を特長としているため、反共振することなく安定したデカップリングが可能になります(青曲線)。

ノイズアブソーバYNAシリーズは、サイズ、定格静電容量、定格電圧から独立した選択可能なESR値を提供しているため、反共振に対する効果的なソリューションとなります。また、本部品は、標準MLCC(積層セラミックチップコンデンサ)と同じ材料とプロセスで製造されるので、回路基板上の配線設計や配置に特別な制限はありません。

 

広範囲で選択可能なESR値

TDKのノイズアブソーバYNAシリーズは、3つのサイズ(IEC 1005、1608、2012)で利用可能です。静電容量とESR値(表)の範囲が広いため、スマートフォン、タブレットPCなどのモバイル機器の電源から発生するリンギングのなどのノイズの低減、またデカップリング回路での反共振の防止にも適しています。このため、部品点数を低減するとともに、効率を損なうことなく電力品質を向上させることができます。

表:TDKのノイズアブソーバYNAシリーズの主な仕様

シリーズ名YNA15 YNA18 YNA21
サイズ[IEC100516082012
寸法[mm

1.00 x 0.55 ±0.05

1.60 x 0.80 ±0.1

2.00 x 1.25 ±0.2

高さ[mm

 0.30 ±0.05

0.60 ±0.1

 0.85 ±0.1

定格容量[µF±20%1110
ESR[50〜100050〜120050〜500
定格電圧[V444
動作温度範囲[°C-55〜+85-55〜+85-55〜+85

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