2013年5月

高効率モータおよび発電機向けレアアースフリー・マグネット

マグネット・ルネサンス

TDKは、レアアースを必要としない高性能マグネットの量産化技術をいちはやく確立。多様な小型軽量モータおよび発電機のエネルギー効率の向上に貢献しています。

これまでレアアースは、高性能マグネットに欠くことのできない材料でした。しかし、安定供給リスクなどの好ましくない状況を打破するため、TDKはマグネット材料を見直し、レアアースメタルを使わないマグネットの開発に取り組みました。これは主に次のような2つの技術からなります。

  • 永久磁石の中で最強のネオジムマグネットの生産に使われてきた希少で高価なジスプロシウム(Dy)などのレアアースメタルを削減あるいは不要とする。
  • フェライトマグネットに使用されているレアアースのランタン(La)やレアメタルのコバルト(Co)を完全になくす。

HAL工程によるジスプロシウムの削減

TDKは、ネオジム、鉄、およびボロンを主成分とするネオジムマグネット(NEORECシリーズ)の製造において、ジスプロシウムの使用を最小限に抑える革新的なHAL(High Aniso.field Layer)工法を導入しました。ネオジムマグネットにおいては、マグネットを構成する結晶粒どうしの境界部に分布するネオジムリッチ相のネオジム一部を、ジスプロシウムで置き換えることで高い保磁力(HCJ)と熱抵抗性が得られます。

図1:HAL工程により製造されたTDK NEOREC磁石

TDK NEOREC 55は、現在HAL工程により生産される最強の磁石です。

HAL工法では、ジスプロシウム拡散源を焼結後のネオジムマグネットの表面に塗布した後に、ネオジムマグネットを比較的低温で熱処理します。これによりジスプロシウムが結晶粒内部に侵入することなく、結晶粒を取り囲むネオジムリッチ相に均一に拡散します。その結果、保磁力が高まり、また、高価なジスプロシウムを節約できます。マグネットの性能向上は、モータの小型化や高効率化につながり、究極的にエネルギーとコストを低減します。HAL工法を採用することでTDKは、ジスプロシウムを最大50 %削減したネオジムマグネット(NEOREC)を生産できるようになり、同時に残留磁束密度(Br)を5 %改善しました(図1)。

ジスプロシウム(Dy)フリー・ネオジムマグネットの量産
HAL工法だけでは、ジスプロシウムを全く含まないネオジムマグネットを製造することは不可能です。このためTDKでは、合金の材料組成を手始めとして、生産工程全体を見直しました。不純物を減らした均一・微細組織(図2)が得られる特殊な低酸素工程を採用。また、粉末加工から焼結までに至るあらゆるプロセスで最適化を図ることで、保磁力を向上させたジスプロシウムフリー・ネオジムマグネットの開発に成功しました。世界で初めて量産されたジスプロシウムを全く使わないこの新型ネオジムマグネットは、今後ハードディスクドライブの読み取り/書き込みヘッドを駆動するVCM(ボイスコイルモータ)に利用される見込みです。NEOREC47HF磁石は、Brが1390 mT(±20%)で、HCJが≥1273 KA/mの特性を備えています。

図2:ジスプロシウム使用/不使用のTDKネオジムマグネットの合金微細構造

Conventional neodymium magnet

Dysprosium-free neodymium magnet

レアアースフリー・フェライトマグネット
TDKは第2の取り組みとして、レアアースメタルを使用しない高性能フェライトマグネット材の開発にも注力しています。このねらいは、エアコンのコンプレッサ用モータや、電子化が進む自動車への搭載量が増えている小型DCモータなど、大量用途向けに、高性能とコスト優位性の両面を達成することにあります。しかしながら、今日の高性能フェライトマグネットは、保磁力を改善するために、ランタンやコバルトを微量ながら使用しています。

図3:TDKの新型ランタン/コバルトフリー・フェライトマグネット

新型ランタン/コバルトフリー・フェライトマグネットの特性は、FB9材のフェライトマグネットと同等です。

磁気エネルギーに関しては、ネオジムマグネットほどの強さはありませんが、フェライトマグネットは、重量で見ると世界の磁石生産の90%以上を占めています。このため、マグネット技術のリーダーであるTDKは、レアアースとレアメタルのいずれも使用しないフェライトマグネットの開発も推進してきました。

ジスプロシウムフリー・ネオジムマグネットと同様に、ランタンとコバルトをフェライトマグネットから排除する鍵は、フェライトの結晶粒から不純物を除去して、より均一にすることにあります。その結果、完成したのが新型ランタン/コバルトフリー・フェライトマグネットで、その特性はFB9材を用いたものとほぼ同等です(図3)。

新材料は、フェライトマグネットのコストパォーマンスをさらに高めるとともに、資源節約やモータの小型・軽量化に大きく寄与するものとなります。この新シリーズの最初の量産化が2013年に始まりました。

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