2011年3月

導電性樹脂端子型MLCC

MLCCの信頼性と厳しい環境でのドライブ

非常に過酷な条件で使用される車載電子部品には、MLCCのはんだ接合の信頼性が特に強く求められます。そこでTDKの導電性樹脂端子型MLCC(積層セラミックチップコンデンサ) が発売されました。

現在の一般的な自動車には1000個以上のMLCCが使用されています。このコンデンサは長寿命かつ信頼性が高いことで知られていますが、車載電子機器は-40℃~125℃ (用途によっては最高150℃) の幅広い温度範囲、衝撃、振動など、はんだ接合に悪影響を及ぼすさまざまな条件で使用されます。加えて、近年は従来のはんだより弾性のない鉛フリーはんだを用いることが増えたため、はんだ接合部は以前より硬くてもろくなっています。その結果、熱衝撃や機械的衝撃で基板がたわむと、接合部に “はんだクラック” が生成しやすくなります。この問題を克服し、接合信頼性を高めることが大きな課題となっています。この接合信頼性の問題は、鉛フリーはんだの物性の改良や、使用部品の小型化などによって、多少の改善は図れますが、抜本的な問題解決になりません。

 

そこでTDK-EPCは、積層基板からのたわみ応力を緩和する導電性樹脂端子型MLCCを開発しました(図1)。これは端子電極の銅下地とニッケルめっき層の間に導電性樹脂電極層を組み込んだものです。この導電性樹脂電極層は、高温や衝撃に起因する回路基板のたわみ応力を緩和することで、はんだクラックの発生を抑制します。導電性樹脂とはエポキシなどの合成樹脂にフィラーと呼ばれる導電体(銀など)の微粒子を混ぜた材料です。

図1: 導電性樹脂端子型の製品
導電性樹脂端子は、銅電極とニッケル めっき層の間に挿入されます。これは機械的襲撃や熱伸長を吸収します。

すぐれた耐熱衝撃と耐曲げ性

プリント基板にはんだ接合されたMLCCの熱的・機械的耐性などを調べるため、各種の試験方法がJIS によって規定されています。エンジンルームに置かれるECU では、振動、衝撃、たわみが基板に伝わるほか、熱衝撃や温度サイクルが基板の熱膨張・収縮を引き起こし、クラック発生の危険性も高まります。図2は-55℃~+125℃の温度サイクルで3000回の熱衝撃試験を繰り返したときのデータです。従来型MLCCの固着強度は90%低下するのに対して、導電性樹脂端子型MLCCでは50%の低下にとどまります。また、従来型MLCCでははんだクラックが発生するのに対して、導電性樹脂端子型MLCCはニッケルめっき層と導電性樹脂層との間に一部剥離が見られるだけです。

図2: 熱衝撃 (温度サイクル) 試験

温度サイクル −55℃+125℃

鉛フリーはんだ 96.5 Sn / 3.0 Ag / 0.5 Cu

 

熱衝撃 (温度サイクル) 後の加圧試験に基づく接合強度の比較 右の写真から、新しい導電性樹脂端子型TDK MLCCは従来型MLCCより優れていると分かります。

耐基板曲げ性試験の結果も同様です(図3)。従来型MLCCは4mmのたわみ量でもセラミックス素体にクラックが発生するのに対して、導電性樹脂端子型MLCCはその2倍以上のたわみ量にも余裕をもって耐えられます。さらに、過度の張力を加えていくと、従来型MLCCではセラミックス素体にクラックが入りますが、導電性樹脂端子型MLCCでは導電性樹脂層からニッケルめっき層が剥離するもののクラックの発生はみられません。

図3: PCBたわみ応力試験
導電性樹脂端子型TDK MLCCは、従来型MLCCの2倍の8 mmのたわみに耐えられます。

MLCCのクラック防止

はんだクラック以上に重大な問題となるのは、コンデンサ素体のクラックです。クラックが内部電極を破断してしまうと、絶縁破壊を起こすおそれがあるからです。コンデンサ素体へのクラックの入り方には特徴があります。端子電極がはんだによってしっかり接合されている場合、たわみ応力は端子電極の接合部に集中し、端子電極の起点からセラミックス素体に伝わってクラックを発生させます。

 

コンデンサ素体のクラック発生の多くは、部品実装後のプリント基板の不適切な取り扱いによります。というのも、作業の効率化を図るため、実装ラインでは長尺のプリント基板に部品を一括搭載してから、個々のプリント基板に分割するという方式がとられています。このとき、ダイシングや専用の治具を使わず、手で不用意に分割したりすると、たわみ応力が加わってコンデンサ素体にまでクラックが発生しやすくなるのです。

 

TDK-EPCは端子電極内部に導電性樹脂層を挿入したMLCCを開発することによって、鉛フリーはんだの使用時に発生しやすい接合信頼性の問題解決に成功しました。この手法は静電容量の取れる大きな形状のコンデンサにも対応しています。そのため、ユニット設計者の自由度は大きく、導電性樹脂端子型MLCCの用途はカーエレクトロニクス機器ばかりでなく、使用環境条件の厳しい屋外電子機器などにも広がります。

鉛フリーはんだに起因する問題

スズ鉛合金であるはんだは、融点が低く、安価で使いやすいのが利点ですが、鉛は人体に有害で環境汚染物質であるため、近年はスズ・銀・銅系など、鉛を含まない鉛フリーはんだが使われるようになりました。しかし、鉛フリーはんだは、従来の鉛入りはんだと比べてヤング率が大きいため膨張収縮の影響を受けやすく、また硬くてもろい性質があります。このため、チップ部品を実装したプリント基板に、曲げや反りなどのたわみ応力が加わると、はんだ接合部が劣化してはんだクラックが発生しやすくなっています。

そのほか、鉛フリーはんだは“カーケンドールボイド”と呼ばれる微細な空隙(ボイド)をつくりやすく、これが固着力を弱める原因にもなっています。異なる2種の金属を密着させて加熱すると、原子の拡散が起きます。これは発見者の名をとってカーケンドール効果と呼ばれます。拡散速度は原子の種類によって異なるため、加熱・冷却の温度サイクルが繰り返されると、はんだ接合部にボイドができやすく、やがてはんだクラックへと成長します。とりわけ、自動車のエンジンルームなどにおいては、走行時には100℃以上もの高温になるため、実装基板の膨張・収縮にともなうたわみ応力により、はんだ接合部にクラックやボイドが発生しやすくなり、接合信頼性が損なわれてしまうのです。

製品ポートフォリオ: 導電性樹脂端子型MLCC ラインナップ

導電性樹脂端子対応製品

– 2端子DC6.3V-630V製品全般

– アレイコンデンサ全般(2素子タイプ)

– 150℃高温対応(X8R特性ほか)

この他の中耐圧製品、COG特性製品等にも導電性樹脂端子対応可能です。

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